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正準集合と大正準集合
 (canonical and grand canonical ensembles)

使い方:


解説:

【正準集合】

前回シミュレーションを提示したのは閉じた系(小正準集合)で、熱および粒子の出入りがないものであった。 これは全体を断熱壁によって囲んだものだが、完全な断熱壁というのは、現実に作るのが難しいものである。 そこで、熱の出入りを可能とし、その場合の温度を外部から規定されるものとしたモデルが用いられ、正準集合と言われる。

このページに示したシミュレーション(左側)では、左側の壁が等温壁となっており、ここに到達したボール(粒子)は、それまでの運動量に関係なく、 新たに乱数で生成された運動量の分布を持つ。 左側を除く各壁と、ピンとは全て断熱的であるが、この1箇所の等温壁の存在により、系は正準集合となる。
等温壁から放たれるボールの初速度として考慮しなくてはいけない非常にわかりづらい点が、この分布の x 成分(面に垂直の成分)は正規分布にしてはいけない、ということである。
これは、存在の分布ではなく、通行の分布として考えなくてはいけないからである。
0から1の一様な累積分布を R とすると、これととの関係は、

   

ただし、y 方向の速度分布は普通の正規分布とする。

   

これの生成方法は過去にご説明した。


【大正準集合】

熱の出入りがあると同時に粒子の出入りもあるモデルは大正準集合と呼ばれる。 このページに示したシミュレーション(右側)では、左側の壁が透過壁となっており、ここに到達したボールは跳ね返ることなく消失する一方、 乱数化された一定の頻度で、初速度が乱数に従うボールが同じ壁から供給される。
投入されるべきボールの初速度についての考慮は、正準集合の場合と一緒である。これに加えて大正準集合では、投入時期も一様乱数で生成している。


【排除体積】

大正準集合では排除体積を考慮する。系の実質体積は、

    実質体積=全体積—排除体積

である。排除体積は、粒子が入り込めない領域である。実質体積に反比例して圧力(離散傾向)が上がるため、その係数だけ供給を増やす必要がある。 排除体積としては、次のものがある。


   
           図:排除体積(面積)


【プログラム】

3種の乱数の生成部分と、排除体積の考慮を行い正準集合および大正準集合を作り出すようにしたボール投入部分のコードは次のようである。