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楽しい内容証明
(a joyful contents-certification post editor --- C#)

 内容証明郵便というのがあります。弁護士さんなど専門家が利用されることが多いようですが、普通の人でも郵便局で出せます。 ただ、そんなに難しくはないとは言え、一定の約束事があるので、そういったところをカバーして簡単にできるソフトをC#で作ってみました。 結構な大仕事になってしまい、作曲家が交響曲を一曲書くのはさもありなんという感じになりました。
 ここでは「内容証明」は、それが目的というよりは曲のタイトルみたいに感じました。 曲ごとに、「運命」とか「悲愴」などと設定されるタイトルは目印に過ぎないかも知れませんが、それが今回は「楽しい内容証明」でした。



               図1.デザイン画面(縦書き袋綴じ)


【本ソフト開発の上でのブレークスルー】
 解決しなければならない項目はかなり多くありました。 一般的ないし内容証明特有の各事項を列挙すると次のようになります。

  1. パネルへの文字入力(パネルに直接入力しているわけではないが、そのように見せるテク)
  2. コピー、ペーストへの対応
  3. 折返し点の調整(括弧、点や丸、改行、複数字扱いの特殊文字)
  4. 改ページを含む文章のコンパクト表示
  5. プリンタ出力、特に複数ページのプリント(当たり前のはずが、難しかった)
  6. (インチでなく)ミリメートルを単位とするページデザインの調整
  7. 配置デザイナー画面(パネル)上とプリントの本質的同一
  8. 頁内寸法、配置のヴィジュアル調整
  9. フォント、プリンタ、色彩(罫線の)の選択
  10. 文字間隔、行間隔の調整
  11. 縦書きの許容
  12. カスタムカーソル(縦書き用に必須だった;プログラム内作成)
  13. 文字配置(いわゆる半角等を升目配置に入れる場合)
  14. 内容証明郵便としての、行内文字数、ページ内行数の制限(横書き、縦書き)
  15. 複数字扱いの特殊文字に対する字数調整
  16. 傍点、下線(傍線)の配置、それらを含む文書の保存
  17. 最新版自作スクロールバー
 こういう課題は複合することで予想外に手間取った。特に1と2の複合、5,6,7の複合など。
 世の中には、プログラミングの技術を教えてくれるサイトは豊富にあって、それは有難いのだが、実際に使えることの検証がこのブログのポイントだ。 いずれは、個々の課題解決にクラックしてご説明した方が良いかも知れないけれど。

 使い方だが、文としての編集とページのデザインとが別箇にできるが、この作業順序は全く任意。横書き、縦書きの相互変換も後から自在にできる。メニューの「モード:縦書き/横書き」をチェックすることで縦書きが、これを解除することで横書きができる。

【エディターの使い方】
 メニューの「モード:デザイン/編集」のチェックが解除されているときに、文章の編集ができる(立上げ直後はそうなっている)。 横書き時は上下に、縦書き時は左右にスクロールできる。
 この状態で、入力された文字をなぞると、フォームの上の方にボタンが現れるので、これを使って傍点や下線(傍線)を加えることができる。
 コピーの ctrl-C、ペーストの ctrl-V が使える。改ページはメニューの「改ページ」による。
 改ページは特に工夫した点の一つだ。Word などでページの区切りを入れると、ページの下の方の白いだけの部分がどうしても目に入り、これを読み飛ばさなければ前後に行けない。 このソフトでは、次のページが被さるように表示され、内容の繋がりを掴みやすい。



           図2.編集画面における改ページ


【デザイナーの使い方】
 メニューの「モード:デザイン/編集」をチェックすることにより、ページのデザインができる。
 縦書きの場合、原稿用紙のような袋綴じを選択できる。
 このモードでは文章の編集はできないが、上下左右の余白の部分をクリック、ドラッグすることにより、位置の調整ができる。
 また、フォント、文字と列の間隔、一行あたりの文字数、一ページ当たりの行数といったものを調整し、見え方を確かめることができる。
 メニューの「罫色」はこのモードの時に限り、参照できる。罫が要らないときは、"Transparent" を選択する。

【ファイル保存】
 デザインも含めた全体を、*.jct という拡張子のファイルに保存できるが、この中身はテキストであり、内容の冒頭にフォーマット情報を付加したものに過ぎない。 フォーマットが要らなければ、*.txt に保存、利用することも可能である(プレーン保存、プレーン開く)。

【プリント】
 メニューの「ファイル:プリンタと紙サイズ」を選んでおいて、「ファイル:印刷」で印刷する。 プリンタを選ぶと、孫のリストで紙のサイズを選べるが、「ファイル:紙サイズの詳細表示」をチェックしておくと、1/100 インチ単位による紙のサイズが知られる。 「ファイル:紙の縦横入替/そのまま」をチェックすると、紙の使い方を変えられる。 多くの場合、チェックによって横長になるが、プリンタ自体が横長設定を内在する場合、逆になることもある。



                        図3.印刷結果(部分)

【内容証明郵便のポイント】
 内容証明郵便には、行の中の文字数、頁の中の行数の制限があり、それらは相互に関係している。また、横書きと縦書きで違う。本ソフトはこれを自動で制限する。
 「①」などの特殊文字については、文字数のカウントが変わる。特に、「①」(「まる1」から変換できる)は、パラグラフの頭では1文字、途中では2文字とカウントされる。 これには自動で対応するが、パラグラフの頭と認識させるためには、その前の行の最後に改行(または改ページ)を入れておく必要はある。 「㌖」など、どっちみち文字数分は空けなければいけないものを詰めた活字で出し、正確に間を取れるという無駄さが、このソフトの「楽しさ」だ。
 内容証明郵便に紙のサイズの規定はないようだが、字数の制限があるので、普通の閉じ方でA4、袋綴じでB4位がほぼ上限だと思う。 なお、用紙の下の方に郵便局印を押してもらうので、ある程度空けて置いた方が良いようだ。
 あと、基本的なこととして、自分と相手との住所氏名は書いておく。印は要らないが、意思表明のためにはあった方が良いケースもあるでしょう(法人は特に)。
 複数枚の場合はホッチキスなどで綴じた後、頁を開いた繋目に三文判などの契印を押す。また、全体に日本語とし、英字は固有名詞に限る(らしいが、どうなんだろう?)。
 同じものを最低3セット(送付、自分、郵便局保管)用意し局印を押して貰ってから、送付分は1セットを封筒に入れ一般書留で出すが、配達証明も付けた方が良い場合が多いかも。資料や写真等は同封できません。

このソフトは、1.プロジェクト、2.実行可能ファイル の形態で利用可能です(2は1から作れる)。

プロジェクトならこちらからダウンロード

実行可能ファイルならこちらからダウンロード(警告が出されることもあるが、変なものではないです)

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