「animation」時、青線は重力由来のトルク(重心の片寄り)、赤線は角運動量を示す。
2本の棒の部品から成り、末端が支点で固定され、棒を繋ぐ関節の角度がアクチュエーターで制御される力学系がある。 支点における回転は自由である(摩擦がない)。 関節の位置と、棒の先端とに、質点 MA および、質点 MB がある。 棒の長さは rA および rG であり、これらは固定長である。 支点と先端との距離 rB は、関節の角度を介して制御される変量である。 その他各部の角度を下図に即し、θA、θB、θD、θG、θP とする。 それぞれの角度の経時変化は、ωA、ωB、ωD、ωG、ωP とする。 支点に対する各質点の角運動量(反時計向き)を LA および LB、それらの和を LT とする。 下向きに重力加速度 g があり、LT は、各質点が受ける重力によってのみ変化する保存量となる。
時間の離散化を行うにあたり、角度は整数番目の時刻につき、また、角速度と角運動量とは半整数番目の時刻につき扱う。 ただし、支点と先端との距離 rB についてのみ、整数番目と半整数番目の両方について定義しておく。 これは、変数としては刻々の条件である関節の角度 θG だけから直接に求められるので、そうしても問題はない。 陽解法を与えるダイアグラムは次のようになる。
図中、①、②、③の各ステップにおける計算は次のようにできる。
①:あと、制御された関節の角度 θG をもとに、θD、ωD、rB を準備する必要がある。
ωD は、この経時変化分である。arctan は多価なので、実際の計算には Math.atan2() を用いている。さらに、
半整数時点の rB は、半整数時点の θG から求めている。 他に、前後の整数時点の rB を平均化して求める方法もあり、サンプリング頻度を減らせるが、θG の制御に対する応答が遅れる原因にはなる (伸縮可能な振子 の応答が遅い理由の一つにはこれがある)。 この場合、半整数時点の状態は直接のサンプリングをせず近似によるが、時間軸に関する対称性を損なうものではない。