それで、今なぜこれを問題にするかと言うと、いわゆる地球温暖化に関する考え方をウェブで調べていたら、カチンとくる議論に出会ったからです。 それは、
「二酸化炭素には、電磁波の1つである赤外線を吸収するという性質があります。太陽エネルギーは赤外線を含みますから、二酸化炭素に吸収されます。」
云々という議論です。
そうなんでしょうか? そういうことが問題なんでしょうか?
上の議論で、x を上空から辿った大気の層になぞらえます。大気の濃度は一様ではなく、上空ほど薄いので、x を即、高度に置き換えるのは違うかも知れません。
上空から見てきた空気の総量を x とするべきです。x=1 となったところが地表です。
それで、たしかに、a<1 の範囲では、a が大きくなるほど、地表近傍の大気による吸収は大きくなるのです。
だから、そんなことになったら怖い、という議論をされているのかも知れませんが、重要なのは、地表における反射率は1よりもだいぶ低く、反射してない分は吸収、即ち熱に変換される点です。
茶色い地面とか、緑の森とか、青い海はかなりの光を吸収しています。これによる光エネルギーの消費と発熱が、居住圏の環境を左右しています。
大気の厚さは 1/e でも数キロメートルであるのに対し、せいぜい数百メートルの居住圏が上空よりも高い温度になっているのはまさに地面の効果で、
空気自体が(直接の)太陽光を吸収する効果以上に、地面(や地上の構造)が光を吸収している分の方が大きいことに由来します。
だから、dy/dx よりも、x=1 における y そのものの値が重要ということになります。
そうなると、熱線を吸収する二酸化炭素が温暖化を起こすという議論はたちまちおかしなことになってきます。
二酸化炭素による吸収は、大気の上空の層を最も温めます。それで、地球の外の宇宙から見れば、地球が熱くなったように見えます。
ですが、それは果たして温暖化なんでしょうか?
物理には相反定理というものがあり、良く吸収するということは、同時に、良く放出もすることを意味します。
地球に降り注ぐ主に太陽の光は一定ですが、外から熱く見えるということは外への放射が増えるということです。 体表の温度が高い人が冷え性なのと同様、熱の収支が放出側に傾けば、全体としては冷えていくはずです。
そういうことで、二酸化炭素即温暖化論者はやりこめられたかに見えたのですが、さすがに世の中の議論はそうそう浅薄ではなく、
「温室効果」というのはそういうことではなかったようです。
太陽から受ける電磁波と、地表が熱として放出する電磁波は、だいぶ波長領域が違います。これは温度の違いにより、いわゆる
「黒体輻射」の領域が異なるからです。「色温度」という概念で言うと、地球からのは遠赤外です。
温度が低いということは当然、輻射の強度(単位立体角当たり)も弱くなっています。
それでも出入りの収支がほぼ取れているのは、太陽からの直接光は見込みの立体角が小さいからです。
地表に発生した熱は、接触によって低い層の大気を温めるかと思いきや、それよりも、赤外の輻射の方が多いそうです。
この輻射は、水蒸気などの吸収帯によって空気の層を温めます。ただし、ここで吸収し切れない「大気の窓」というのがあり、
この分は直接宇宙にまで通過するので放射冷却現象の原因になる。この部分を左右するかも知れないのが二酸化炭素とのことです。
だから、確かに二酸化炭素は温暖化に寄与するかも知れないが、たとえば夜に砂漠が冷えたりするのを緩和するような効果であって、
灼熱の大地を作るようなものではないようです。そういう精密な議論が、
二酸化炭素地球温暖化脅威説
になされていて感心しました。特に次の図は、別の文献からの転載のようですが、本当に分かりやすいので、挙げさせて頂きます。
引き続き勉強させていただきたいと思います。