標準時の基準になる場所があって、日本の時刻は、東経135度の明石を標準としている。 その明石では、太陽は正午に南中すると考えられているが、一年中そうであるわけではない。 正午に南中するのは、冬至と夏至、さらに春分と秋分の4回だけであって、その間では微妙にずれ、その主原因は単純に幾何学的なものである。
太陽は、冬から春と、夏から秋にかけては、遅れがちに、また、春から夏と、秋から冬にかけては、進みがちになる。 時間のずれは、最大で10分弱である。 このずれは、明石に限らず、世界中で同じ時期に同じだけずれる。 北半球、南半球を問わずというのが面白いところである。
南中時刻のずれは、日の出と日没の時刻にも同じだけ影響する。 これらの時刻は夏と冬で大きく違うことは良く知られるが、冬について言うと、日没が最も早いのは冬至よりも12日ほど前であり、 日の出が最も遅いのは、冬至よりも12日ほど後の新年の頃である。 夏についても、朝が最も早いのは、夏至より12日ほど前、夕方が最も遅いのは夏至より12日ほど後である。 それは北緯35度の場合であるが、ずれの日数は緯度によって変わり、低緯度ほど大きくずれ、赤道下では、冬至、夏至と彼岸の中間で、ずれが最大となる。 ただし、ずれの時間は高緯度ほど大きいのは言うまでもない。 以上のことから、季節変化が激しいのは、春季の夜明け時刻と、秋季の暮れ時刻である。 「春は曙」と、「秋の日はつるべ落とし」はどちらも意味があるわけである。
以上のことは、地球の自転と公転の向きが同じだからで、もしこれが逆向きであれば、「春の落ちない夕日」、「秋の遅い夜明け」といったことが言われたかも知れない。
ウェブソフトは、地球の公転面を垂直に見たものであり、標準経度を赤線で、南中位置を黄色線で示している。 「時:分」を「12:00」に固定し、「月/日」を動かしてみると、黄色線が赤線より前後するのがわかる。